引越し費用を借りる

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寂しい…

もう10年以上前、結婚が決まったばかりの頃のことです。
新居として、実家から車で30分ほどの場所にアパートを借りました。

 

当時は主人が仕事で大変忙しく、結婚関係のほぼ全ての下準備は私がメインで行い、最後の確認や大事な部分だけを二人で、という形で物事を進めていました。引越しに関する殆どのことも、当然私の担当です。

 

引越し予定日の1ヶ月前に契約を済ませ、ライフライン系の契約と開設、家具や家電の購入と搬入の手続き、役所回りなど、仕事の合間や終了後に、自分のペースで少しずつ片付けていきました。

 

けれどもはやり、持ち込んだストーブと筆記用具以外何もないガランとした部屋で、一人で夜遅くまで作業をしていると、心細く、不安な気持ちになったりもします。

 

特に思い出に残っているのは、荷物の搬入や配置のために、部屋のあちこちの寸法を測っていた日のことです。
部屋にはまだ、家具のひとつも入れておらず、カーテンもついていません。

 

聞こえるのは、ジジジ・・・というストーブの微かな音と、自分が動く音だけ。
ふと、私は何故か、そんな状況でよりにもよって怖い話を思い出してしまいました。

 

心は一気に恐怖と猜疑心の真っ只中に突入していきます。
この場から逃げ出したい、早く帰りたい、そんな気持ちで焦っていると余計に、他の部屋の暗闇が意味もなく怖く思えたりするものです。

 

何とか予定の作業を終えて、飛び出すように外に出ました。
玄関を開けると、隣家の玄関先から庭にかけて、ちょっとした規模のクリスマスイルミネーションがキラキラ輝いていました。

 

来るときにはまだ外が明るかったので、気付きもしなかったのです。
街頭の少ない田舎町の住宅街のこと、闇夜の暗さの分だけ光が際立って、その時の私には、本当にキラキラと輝いて見えました。

 

「あぁ、そうか、もうすぐクリスマスなんだ・・・」
そう思ったら、ふっと気が緩み、泣きそうになりました。

 

さっきまでの怖さも嘘のように吹き飛んで、暖かい幸せな気持ちになったのをよく覚えています。
ちなみに、そのお隣さんとの関係は、当時から今に至るまで何故か微妙です。